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一景一話

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【一景一話】 ~心に残る景色との出合いと食の愉しみ~

シュターデ その2  『漁師とそのおかみさんの話』

シュターデを散策していると、広場で小さな池に出合った。
ベンチでは老人たちが会話を楽しんでいる。
この池にちょっと変わったオブジェがあった。

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この分野に疎い私は、これがどのような物語のオブジェなのか知らなかった。
同伴していたドイツ人に聞くと、その内容を簡単に教えてくれた。
しかし、それがかの有名な『グリム童話』の話であることを教えてくれなかった。
いつも思うのだが、どうしてドイツ人はいつも一番肝心なことを言わないのだろうか。
これはたびたび体験していることで、彼らの国民性なのだろうか。
それはともかく、この変わったオブジェの老人と魚の話は以下のとおり。
少し長いけど、紹介したいと思います。

グリム童話『漁師とそのおかみさんの話』 

むかしむかし、漁師とおかみさんが、汚くて小さな家に住んでいました。ある日、漁師が釣りに出かけると、一匹のカレイが釣れました。
「おおっ、これは立派なカレイだ。よし、さっそく町へ売りに行こう」
 漁師はそう言ってカレイをカゴに入れようとすると、そのカレイが漁師に話しかけてきたのです。
「漁師のおじさん。実はわたしは、魔法をかけられた王子なのです。お礼はしますから、わたしを海へ戻してください」
 言葉を話すカレイに漁師はビックリしましたが、やがてカレイをカゴから出してやると言いました。
「それは、かわいそうに。お礼なんていいから、はやく海にかえりなさい。それから、二度と人間につかまるんじゃないよ」
 漁師はカレイを、そのまま海へはなしてやりました。
 さて、漁師が家に帰ってその事をおかみさんに話しますと、おかみさんはたいそう怒って言いました。
「バカだね!お礼をすると言っているのだから、何か願い事でもかなえてもらえばよかったんだよ。たとえば、こんな汚い家じゃなく、小さくても新しい家が欲しいとかね。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。はやくカレイのところに行って、願いをかなえてもらうんだよ!」
 漁師は仕方なくもう一度海に行って、カレイに話しかけました。するとカレイが海から出てきて、漁師に言いました。
「家に戻ってごらん。小さいけど、新しい家になっているよ」
 漁師が家に帰ってみると、おかみさんが小さいけれど新しい家の前で喜んでいました。しばらくは小さいけれど新しい家に住んでいましたが、やがておかみさんが言いました。
「こんな小さな家じゃなく、石造りのご殿に住みたいねえ。・・・さあ、なにをグズグズしているんだ。
はやくカレイに、言っておいで」
 漁師が海に行ってカレイにその事を話すと、カレイは言いました。
「家に戻ってごらん。小さな家が、石造りのご殿になっているよ」
 家に戻ってみると、小さな家はとても大きな石造りのご殿になっていました。
 大きな石造りのご殿に、おかみさんはすっかり満足しましたが、やがてそれにもあきてしまい、また漁師に言いました。
「家ばかり大きくても、家来がいないとつまらないね。やっぱり家来のたくさんいる、大貴族でないと。・・・さあ、何をグズグズしているんだ。はやくカレイに、言っておいで」
「でもお前、欲張りすぎじゃないのか?大きな家をもらっただけで、いいじゃないか」
 漁師がそう言うと、おかみさんは怖い顔で漁師をにらみつけました。
「なに、言っているんだい!命を助けてやったんだから、そのくらい当然だよ。さあ、はやく行っておいで!」
 漁師は仕方なく、もう一度カレイにお願いしました。でもカレイは少しもいやな顔をせずに、ニッコリ笑って言いました。
「家に戻ってごらん。大貴族になっているよ」
 家に帰ってみると、おかみさんは大勢の家来にかこまれた大貴族になっていました。大貴族になって何不自由ない生活でしたが、おかみさんはこれにもあきて、また漁師に言いました。
「いくら貴族といっても、しょせんは王さまの家来。今度は、王さまになりたいね。・・・さあ、何をグズグズしているんだ。はやくカレイに、言っておいで」
「・・・・・・」
 おかみさんのわがままに、漁師はあきれてものが言えませんでした。しかし、おかみさんにせかされると、仕方なくもう一度カレイのところへ行き、恥ずかしそうにおかみさんの願いを言いました。
「家に戻ってごらん。王さまになっているよ」
 家に戻ってみると家はお城に変わっており、おかみさんのまわりには大勢の貴族や大臣がいました。
とうとう王さまになったおかみさんですが、やがて王さまにもあきてしまいました。
「王さまよりも、法王さまの方が偉いからね。今度は、法王さまになりたいね。・・・さあ、何をグズグズしているんだ。はやくカレイに、言っておいで」
 漁師からその願いを聞いたカレイは、少しビックリした様子ですが、今度も願いをかなえてくれました。
「家に戻ってごらん。法王さまになっているよ」
 家に帰ってみると、おかみさんは多くの王さまをしたがえた法王さまになっていました。とうとう、人間で一番偉い人になったのです。でもやがて、おかみさんは法王さまにもあきてしまい、漁師に言いました。
「法王さまと言っても、しょせんは神さまのしもべ。今度は、神さまになりたいね。・・・さあ、何をグズグズしているんだ。はやくカレイに、言っておいで」
 その言葉に、漁師は泣いておかみさんに頼みました。
「神さまだなんて、そんなおそれおおい。お願いだから、やめておくれ」
 でもおかみさんは、考えを変えようとしません。漁師は仕方なく、もう一度カレイのところへ行きました。するとカレイは、あきれた顔で言いました。
「お帰りなさい。おかみさんは、むかしのあばら家にいますよ」
 漁師が家に帰ってみると、お城も家来たちもみんな消えてしまって、前の汚くて小さな家だけが残っていました。それから漁師とおかみさんは、今まで通りの貧しい生活をおくったということです。

ご精読ありがとうございましたm(_ _)m
by doitsuwine | 2012-09-13 18:41 | ドイツ | Comments(2)
Commented by dieElfen at 2012-09-15 01:03
先日シュターデを訪れた時は、ここでマルクトが開かれていて、あやうく漁師さんの前を通過する所でした。^^;;
シュターデは本当に小さくて素敵な「街」ですね。
ほんの数ヶ月でも時期が違うと、木々の色や植えられている花壇のお花が変わるので、まるで別の場所の様でした。
ただのお散歩も楽しいものですね。
次は冬かな〜。^m^
Commented by 管理人 at 2012-09-15 13:32 x
dieElfenさん☆

いいなぁ~。シュターデの四季の変化が味わえるなんて最高ですね。うらやましい~~~。また、別の姿のシュターデを紹介してください。楽しみにしています。