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一景一話

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【一景一話】 ~心に残る景色との出合いと食の愉しみ~

法善寺横丁の洗心水

ここは法善寺横丁。
私が大阪で一番好きな場所。
京都の先斗町みたいな通り。
なんだか、最近はどこへ行っても食べることがメインになっている(>_<)

この通りの入口に「洗心水」がある。
なんと、慶応四年四月の建立。

法善寺横丁の洗心水_e0297347_23124769.jpg

深く彫られた八分隷書の文字が厳めしい。

慶応四年の四月といえば戊辰戦争の真っ只中、江戸の無血開城がなされた頃。

「洗心水井戸は手と口を清めるためのもの」などと言われているが、元は違っていたはず。

かつてこの界隈で働いていた女たち・・・仲居、職業婦人、娼妓、半玉、そして芸者たち・・・・・・。
この井戸水でけがれた心を洗いまひょと、彼女たちは不動明王の尊像に水をかける。
何十年来一日も欠かさず水をそそがれた不動明王の体からは蒼い苔がふき出している。  
しかし、それも明治以降の話。

近代国家の夜明けの年にできた井戸。
当時、この一帯は刑場だった。
井戸の建立にはさらに別の意味があったはずである。
そう、刑場に引かれる罪人は、この井戸水で親族と水杯を交わし、悲しい別れに涙したのである。
今はそんなことを知る人はだれもいない。
by doitsuwine | 2015-04-03 17:23 | 西日本 | Comments(0)

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