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一景一話

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【一景一話】 ~心に残る景色との出合いと食の愉しみ~

ドクター・ターニッシュ(ターニッシュ医師)

モーゼルのベルンカステルに「ドクター・ターニッシュ(ターニッシュ医師)」という名醸がある。

モーゼル・リースリングの代表的生産者であり、名門として名高いのが、ターニッシュ医師家である。

Dr.を博士と訳す向きもあるが、ここではやはり医師と訳したい。

ドクトールと言うのは、「超1級畑」と称される畑の名前。トリアーの選帝候(大司教べームント2世)が重病になった時、農夫が勧めたワインを飲んだら回復し、その畑にドクトール(ドクター=医者)の名を与えたという話からつけられた。

畑の地下にはセラーがある。扉を開けると長い通路がある。扉のレリーフにも選帝候の話が描かれている。突き当たりには池があり、広い空間になっている。池はドクトールの畑からしみ込んだ地下水で、昔はこの池で樽を洗った。第二次大戦中はベルンカステルも連合軍の空爆を受け、空爆を避けるために大勢の市民がこの空間を防空壕として使ったといわれている。

ワイン生産者、ターニッシュ家が記録にはじめて現れるのは17世紀(1636年)。四百年近い歴史を持つ名門中の名門で、モーゼル・ザール・ルーヴァーを代表する超一流の蔵元である。

その、あまりにも著名なワインの数々は、いずれも高級ワインばかりであるが、果実の芳香と酸味が豊かで、しっかりとしたコクがある。本格派の高品質リースリングワインは、やはり貴重な逸品というべきものばかりである。

ミッテルモーゼル地域では、最高の畑を10箇所所有している。1921年にモーゼル地方で初めてトロッケン・ベーレン・アウスレーゼ(貴腐ワイン)を造ったのも、このターニッシュ家である。

公式晩餐会には、常にオン・リストされ、イギリス皇太子や、アメリカ大統領、そして昭和天皇もここのワインをいただいている。

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また、ターニッシュ家の畑には珍しく門がある。畑は一面シーファー(粘板岩)の小石に覆われている。元来、畑に石は邪魔なだけであるが、ここモーゼルではわざわざ畑にシーファーを入れる。それは日中、太陽に暖められたシーファーが夜になって放熱し、畑の温度が保たれ、ぶどうの生育がよくなるためである。
by doitsuwine | 2013-04-23 18:21 | ドイツ | Comments(2)
Commented by N-styel at 2013-04-24 07:49
素敵な葡萄畑ですねぇ~~
色んな物語がうかがえます…!(^^)!
同じ頃、日本ではお酒造りしてたんですモノねぇ~
アルコールと人との関係、紐解くと面白そうです。
Commented by 管理人 at 2013-04-24 09:37 x
Naoさん☆

そうですね。
ドイツのぶどう畑には全部物語があります。
私がドイツワインを愛する理由の一つでもあります。
いつも物語を頭に描いてワインをいただきます。
ドイツワインは料理がなくてもおいしくいただけるので、食前酒・食中酒・食後酒(デザート)をとおしていただけるのも魅力です。
日本酒も銘柄がたくさんあるのがいいところなのですが、物語のあるのは少ないです。
石川県の「天狗舞」には物語があり、おもしろいです。
「天狗舞」は大好きな酒です。