人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

一景一話

doitsuwine.exblog.jp

【一景一話】 ~心に残る景色との出合いと食の愉しみ~

『人間の基本』』 (新潮社・曽野綾子著)

『人間の基本』(新潮社・曽野綾子著)

『人間の基本』』 (新潮社・曽野綾子著)_e0297347_19481426.jpg

読了してまず、感じたことはこの内容の本は、あと20年経ったら書ける人がいなくなるということ。
良くも悪しくも古い教育を受けた人でないとこのような新時代を風刺する文章は書けない。
たとえ我々の世代が同じことを感じて、同じことを書いたとしても、体験なき文章には説得力がない。

 「一年間の国民総動員奉仕活動」は知っていたが、これは彼女ならではの提案。
でも「総動員」という思想は現代日本では所詮無理(否、この本を読んだ後なので、90%無理としておく)なこと。

時代の変化に対応することは必要なのだが、どのように対応するかは個人の考えによるところ。
そのまま旧態依然としていることもいい場合もあるし、便利なモノはどんどん使うべきだろう。
もちろん便利は手間を無くし、器用者を育てないから、無条件で受け入れるのはよくない。
そこが個々人の判断を要するところ。

モノは大量生産より、手作りの方がいいに決まっている。
しかし、これもモノによろだろうし、個人の好みもあるだろう。
人口が70億人を超えた世界で、手作りだけで対応するというのも極めてナンセンスである。

 「日本人はもう少し「よくわからない人間」がいてもいいし、「人間はわからないもの」だと思うべきなのです」
う~~~ん、かなり苦しいなぁ。
なぜかというと彼女はある部分で「よくわからない人間(非常識の人間を含めて)」をダメだ、と言っている。

「九十歳になっても本当に三十歳のままだったら不気味ですね。妖婆ですよ。(中略)月に一冊も本を読まないのでは、近い将来、馬鹿みたいな老人になることは目に見えています。」
この毒舌が、彼女流。
馬鹿みたいな老人にならないようにしなければ・・・

年配の読者の誰もがそう思うだろうように、私も納得できる部分と非難したくなる部分が同居している本だと思う。
そう思う私が旧時代と新時代の狭間に生きているからかもしれない。
by doitsuwine | 2014-03-07 18:08 | 生活 | Comments(2)
Commented by N-styel at 2014-03-09 17:30
今晩は~♪ (*'▽')
中高時代の年輩の先生には、こうした方がいらっしゃったのです。
ですから、ちょっと理不尽だなぁ~と感じる時もしっかりと叱るというその時代ならではのお考えなのでしょうね。
私は彼女の年を重ねた分だけ才覚がある、だから体力は衰えていきますが、その分、才覚で補えば良いとする考えに大きな勇気をいただいた思いでした。
全て迎合しようとは思いませんが、善しと思うトコロは大いに学んで参りたい、それは年配者であろうと、若い方であろうと…そういう柔軟さは持ち続けたいと願っております。( *´艸`)
Commented by 管理人 at 2014-03-09 22:52 x
Naoさん(^^)/~~~
今、大阪旅行から帰宅しました。
古き良き時代というのはいろいろな場面でありましたね。
一つでも我々の生活にひびくものがあれば、私もそれでいいと思います。
人間は生き物ですから。
しかし、早く、真の個性を育てる教育になってほしいと実感します。やたらに学科や選択科目を多く作ったって、個性のある人間なんか育ちません。
自分で個性を探し、磨く努力をしないのですから。

by doitsuwine